手仕事の記憶

手を動かす、何かを作り出す作業がとても好きです。
決して器用な方でなく、母には根気のない娘だと言われて育ちましたが、小さい時から、和裁をする祖母の側で布の切れ端で遊ぶのが好きな子供でした。
祖母に呉服屋さんが反物を持って来られ、何日かすると、それがなくなって、たとう紙に包まれた何かになり、なくなる。そしてまた…と繰り返されているのを日々見つめていました。
私が昼寝をしていても目を覚ますと変わらず針を動かす祖母がいて、それを見るとまた、眠くなって…と。同居していた訳ではないのに、その記憶は私の手仕事の原風景として心に焼き付いています。
まさか、私が和裁ではありませんが、毎日針を持つ生活をすることになるとは祖母は思いもしなかったでしょう。
写真は昨年の今頃刺したアルファベットです。